●八重山諸島 12 夕飯 バックパッカー!?
夕飯を食べるために食堂に降りる。
1泊5000円の民宿とは思えない食事できちんとした沖縄家庭料理のようだ。
見た目より口にするとなかなかおいしい。
部屋の相方といろいろ身の上話をする。
すると横に青年1人と若い女性が3人のグループで話が盛り上がっている。
「小笠原諸島に行ってきたことがある。」
など、自分の行ったことがあるところを自慢している。
相方がちょっと気にしながらもお互いの身の上話をする。
医者の競争というのは頭のいい人の競争だからシビアなんだろうなあ。と想像する。
私は・・・。
もう東京でつまらない仕事に追われるのが嫌になってきている。
でもなんとか仕事している。
それから部屋に戻り、相方がいろいろ話をしてくれる。
この八重山諸島は東京などの大都会で仕事ができなくなってしまった人が行き着く先でこういう人は自分が行ったことがあるところをひたすら自慢するらしい。
そして八重山の人たちはいい人たちばかりなのでこういう青年を怒ったりしない。
東京で真剣に働いている人間から見ると腹が立つのだそうだ。
言うことがわからないでもないがあの青年の姿は明日のわが身かもしれないのでわたしはあまりそのことに言及しなかった。
それから私が民宿の外でのんびりしていると民宿の旦那さんが怒ってあの青年を探していた。
「畑仕事もしないで、勝手に女の子を連れてきておまけに飯まで食べさせて・・・」
あの青年は民宿の居候だったようである。
そして今日は畑仕事でサボったようだ。
それから旦那さんの言葉。
「あいつに少し飲ませてギャフンと言わせてやる・・・。」
もう八重山の人たちはいい人たちばかりなのだろう。
あてもない放浪者がたくさんいついてしまうのもわかるような気がする。
ここはいいとこすぎる。
ここ社会を逃げ出す場所だ。
私もお世話になる日がやってくるかもしれない。
私は相方のように別に偉くなろうとは思っていない。
反対に放浪しながら飯を食べる手段があればそういう生活もいいと考えてしまうくらいだ。